40歳代の兄弟の大工さん

2011.10.01

内装を担当してくれたのは40歳代の兄弟の大工さんで、どちらも穏やかな人柄です。お兄さんは御神輿をつくったこともあるという細工の上手な熟練の大工さんです。和室は天井高を2.5mにしたので造作しにくかったと思いますが、2人の大工さんのおかげですばらしい和室ができました。床板は筰、床枢は黒檀、落し掛けは紫檀、絞り丸太の支柱の仏壇入れ、欄間つきの広縁を備えた8畳の本格和室です。壁の色は、社長邸の赤い唐辛子色のほうが襖を閉めたとき個性的な空間になるといわれましたが、結局オーソドックスな深みのある洋辛子色のジュラク壁に左官屋さんがしっかり仕上げてくれました。もし、赤い唐辛子色にしていたら、壁が黄鶯色のLDKとはまったく雰囲気の異なる和室になっていたことでしょう。できあがってみて、はじめて社長の意図がわかりました。建築ひとすじに生きてこられた社長の研ぎ澄まされた感性と美的感覚を思い知らされたような気がしました。それにしても、そんな社長が練りに練って建てた家をお手本に「よいとこ取り」して家を建てることのできる私たちは幸運です。廊下や柱を糠袋で磨きあげる楽しみを、自分の趣味やゆったり過ごすための時間に当てるのもよいかもしれません。生活スタイルや人生の楽しみは、時とともに変わっていくものなのですから……。たとえ集成材を用いても、熟練された大工さんや左官屋さんの手によって和室は格調あるものに仕上がりました。