金型は、日本では月産数万台という量産規模

2011.08.22

金型は、日本では月産数万台という量産規模であるが、アセアン諸国ではせいぜい数百、数千程度である。この生産量では償却費が高く、単価はきわめて高価なものとなってしまう。また、技術水準からいっても、日本の金型に対応できるものをアセアン諸国ではもっていない。アジア標準の設定そこで、必要となるのが、「日本標準」を見直し、「アジア標準」を設定することである。そのため、新規に金型を起こさなくとも可能な、現地で入手可能な汎用部品を採用したり、現地の金型メーカーでも製作できるように当初の設計を修正することである。また、アジア向けに部品や材料の仕様を変更することである。しかし、全世界に同一品質のものを同一ブランドで提供する車種では、スタイリングやシャーシなど基本部分はもちろん、目に見えない細かい部品や基本性能に影響を与えない部分で、若干の設計変更は可能であっても大きな変更はゆるされない。したがって、最初からアジア市場を前提に製造することを目的に、現地の製造技術や現地調達可能な部品を使用した設計が「アジアーカー」の特徴である。このことは、本田技研の「シティ」では、既存車種の部品の利用から新規部品の開発へと方針を変更したことにあらわれている。同社は、当初フソビックの1988年モデルのプラットフォーム(車台)をそのまま使用する方針でフビアイを開発した。これは、既存の部品と共通化することでコストダウンをめざしたのである。実際に、初期の開発車の部品流通率は80%にのぼった。しかし、こうして設計された開発車は、わずか4〜5%しかコストダウンができないことがわかったのである。低価格のアジアーカーを実現するためには、日本で開発した「シビック」の部品の構造は複雑で、タイではできないか、つくれても高い価格になることから、現地で金型を新規に起こす必要があった。そこで、本田技研は、全面的に方向転換した。車全体を見直し、コストダウンの実現と、アセアンの交通事情、道路事情、気候などに対応させながら、車としての機能を中心に部品の構造の変更をすすめたのである。その結果、アジアーカーとしての「シティ」専用の部品を現地で生産し、現地で調達することにより、「シティ」は既存車種からの流用率は22%に下がり、従来の「シビック」の価格(最低価格58万8000パーツ)にたいして30%ちかく価格を引き下げることができたのである。

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